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【プロスタッフ小森嗣彦 コラム】 vol.3 「SUPERIOR開発秘話、そしてこれから」

SUPERIORフックシリーズはライトリグ用オフセットのLOフック、スモールマウス用マスバリMⅠフック、ガードなしマスバリMⅡフック、カバーネコ用フックCNフック、そしてカバー用オフセットCOフックが2022年5月時点でラインナップされている。

フッキングをスマートに行うために考えた形状と摩擦を抑えるFコート、掛かった魚をしっかりとスーペリオロックする理想的な形状バランス、そしてフッキングとルアーの操作性を高めるアイデザインなどに代表されるリグとしての使いやすさなど、このクオリティーの高さはこれらのアイテムをすでに使用してくださった方々から多くの賞賛をいただいている。

このSUPERIORフックの企画が立ち上がった時点から、どうしても後発になってしまわざるをえないフックをどう特化させていくか、ということが私の開発テーマだった。

ロッド、リール、ライン、フック、これらのアイテムはフィッシングの根幹をなすものである。にもかかわらず、リールを除いては、その良し悪しの基準がきわめて感覚的であり、曖昧で、そのほとんどがこれまで使い手の印象によって選ばれてきていると私は感じていた。

最初の出会いは色々と経緯もあるだろうが、一度信じられるアイテムを見つけると、違うものへチェンジさせにくい。それまでの釣果体験を重ねれば重ねるほどなおさらだろう。

私もこれまでさまざまなフックを選んで使ってきた。新しいものを選ぶにしても、やはりそれまでの体験が元になり、これだと思って使ってきたフックを新しいものに変えるのには勇気がいる。

バス釣りを初めて38年、プロになって24年、その経験値は自己評価だが膨大だ。

しかしその体験の中には、フックアウトやフッキングミスによる悔しい経験も積み重なっている。あれが獲れていれば優勝だったのに…ということは幾度となくあった。

釣果体験と並んで積み重ねられたこれまでのミス経験。このミスがいかにして起こり、どうすれば減らせるのか?既存のフックから次のものへ勇気をもって舵を切るとき、その膨大な悔しい経験値が動機となった。

まさに失敗は成功の母なりという言葉通り、それが開発コンセプトの一つだ。

 

次に注目したのは今日のロッドと同じく、リグや使い方に特化させることだった。

私が以前契約していたメーカーでロッドを初めて手掛けたとき、世の中にあるスピニングロッドは今ほど細分化されていなく、せいぜいLかMの長さ違いで計4ラインナップにアンダーショット用がある程度だった。

その当時、すでにスピニングでの釣りはリグの種類も多様化していたのに、それにロッドはついてきていなかった。

当然、そのラインナップでは全ての釣りで100点のパフォーマンスを出すのは難しい。

そこで私は用途に応じたスピニングロッドの細分化を行った。そこから私のトーナメントの成績は飛躍的に伸びた。それまで優勝経験もなかったし、年間タイトルにも絡んでいなかった私が、のちに3度のAOYを獲得するまでに至ったのはこのスピニングの細分化が大きかったと言える。

細分化とは要は使い分けだ。これはフックにも言えることだった。

リグに合わせてフックを選ぶのではなく、そのリグありきの特化したフックを作ってしまおうと思った。もちろん使い方は自由なのでそれ以外に使っても、より高パフォーマンスを発揮することもあるが、まずはこう使うために、ここをこうして、こうなる、ということを考えた。それはネーミングにも分かりやすく反映している。

 

ロッド同様、リグに合わせたスーペリオフックがある程度ラインナップされてから、私のトーナメントの成績もより上位で安定している。

アイテムが出そろった2021年シリーズのトーナメントは冴えわたっていた。

試合中なので、シビアな魚に口を使わせていることもあるためミスは起こる。しかしそのミスがトータル的に何割か減ったか、ということはそのまま成績に反映している。

9月に行われた桧原湖のスモール戦に於いては、3日間で30本以上のスモールマウスバスをキャッチし5位に入賞したが、フックアウトはゲーム中に1度あったか、なかったか…私は記憶にはない。

おそらく、ほぼすべてのバイトをフッキングさせ、キャッチしている。これはスモールマウス戦ではこれまで考えられない結果であった。

年間成績は惜しくも1ポイント差で優勝こそ逃したが、3位以下を大きく引き離した。ミスが減って釣果が2割増しになったくらいに私は感じている。

 

今は5アイテムのフックがラインアップされているが、SUPERIORフックはまだまだ終わりではない。

ガードのあるマスバリ、ジグヘッドは既に開発を進めており、幾度のテストと調整を経て、もう間もなく完成する。

ガードマスバリはその使用が想定されるロケーションで最大限の防御と攻撃ができる形状とガードの強度を追求している。ジグヘッドは私がこれまでよくあった、フッキングができてない、ジャンプでばれる、これをどうやったら減らすことができるのかを求めて開発している。

ワームフックなのでワームのホールドも重要で、そのあたりも完成度の高いものが今シーズン中にお見せできるようになると思う。

そしてさらに新しいフックも開発中。

ぜひSUPERIORフックの続編を楽しみにしていてほしい。