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【プロスタッフ小森嗣彦 コラム】 vol.5「スーペリオと共にA.O.Y.獲得、そして次のステージへ」

バストーナメントという競技は体を使う他のスポーツと違い、年を重ねても高いパフォーマンスを見せることができる。

実際海外でも高齢のトーナメンターが活躍したことはよく耳にするし、日本でも最高齢でのJBTOP50優勝は50歳を大きく超えている。

知識と経験が大きくアドバンテージとなるのが釣りというものなのだ。

しかしながら、年間を通してそのパフォーマンスを維持し、JBTOP50のA.O.Y.タイトルを獲得するということになると、これまで前身のワールドシリーズ以来、40歳を超えた選手がそこにたどり着いたことはなく、今までタイトル獲得者はほぼ30代。

まれに天才と呼ばれる選手が20代でそれを獲得しているが、他のスポーツ同様に成績は30代で大きくピークを迎えている傾向にある。

私もこれまで3度その頂点に到達しているが、最後にA.O.Y.を成し遂げたのは2012年、当時36歳。実に10年前の出来事であった。

それから10年間決して低迷をしてきたわけではない。

2015年には2位、2016年には1シーズン2勝し3位、少し前のコラムでも書いたが、スーペリオフックの数種類がラインナップされてから、私のトーナメントの成績もより上位で安定し、現行のアイテムが出そろった2021年シリーズのトーナメントは実に冴えわたり、1位と僅かに1ポイント差の2位とA.O.Y.こそ逃したものの、確実に優勝争いに加わっていた。それはまさに知識と経験の成しえたことではあった。


バストーナメンターが30代でピークを迎える要因は肉体的な問題もあるだろう。

私とて年々視力は低下し、一日中ハードにプラクティスを行う体力や集中力は明らかになくなってきている。

しかし、ここまでハイパフォーマンスを維持できている。

私が30代でピークアウトが起こる要因として私が考えているのは、肉体的な衰えに加え、知識や経験による恩恵以外の部分、つまり思い込みや決めつけもあると分析している。

このスーペリオフックの開発に携わる前までは、フックについては私もこのフィールドはこれ、このリグはこれとマンネリ化してきている部分もあった。

それはもちろん積み重ねてきたものなのでベストな選択なのかもしれないが、ときには変化に対応できない。あるいは変化に気づくきっかけさえ奪ってしまっているかもしれないのだ。

フィールドも、他の選手、特に若い選手は絶え間なく進歩している。

今がダメだったとき、そこで自分が変わらなければ時代に置いて行かれるだけだ。

実際前のコラムで書いたバックスライドだが、それまでの私だったらバックスライド自体やらなかった。テキサスリグで勝負ができると思っていた。

実はあのフック開発があってこそのバックスライドパターンだったのだ。

フックに関してはシーズン中もいろいろとコンビネーションを試した。

例えばこれまでライク2.5をサスペンドで使うには私的にはMⅡフック #8という組み合わせが定番であったが、最終戦の桧原湖ではライク エラストマー2.5を使うことで#6を選択。

よりミスの少ないやり取りができた。

同じく第2戦の弥栄戦でも、ネコリグに対してそれまではMⅡフック #8がメインだったが、水が濁っていたことでフックをそれほど隠す必要がなくなり、#6に変えることでキャッチ率が上がった。

 
もちろんワームごとの定番となる推奨サイズはあるのだが、何事も試してみる価値はある。

こと釣りにおいてはチャンスがあるのならば他にもあらゆることは試しておいたほうがよい。

バスフックの世界では後発のスーペリオフックなので、未だ使ったことのない方もいるかもしれない。

その方にもぜひ試してもらって「あ、この針いいな」って立ちどまってもらえるように私はこれまでの知識と経験をフックに注ぎ込み、後発であるが故の洗練されたものや、さらにこれまでになかったイメージが描けるように挑戦をあきらめないでいる。

2022年、私は10年ぶりにJBTOP50の頂点に返り咲いた。

その4日後、私は48歳の誕生日を迎えた。

これまでのA.O.Y.獲得最高年齢を9歳も更新した。

まだまだ立ち止まるつもりはない。

バストーナメントにおいて、知識と経験はもちろん大きな武器である。

そこで立ち止まらないからこそ、その知識と経験はさらに大きくなり、より強力な武器となることを実感できたシーズンだった。

ここに返り咲くためにスーペリオフックは生まれた。

そして次のステージにも導いてくれるであろう。