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カーボンフルソリッドの魅力

皆さんこんにちは。開発担当渡部です。

バサーオールタークラシックも延期(11月30日(土)、12月1日(日)に開催)となるなど、台風の猛威を受けた10月でした。甚大な被害に遭われた方々もいらっしゃると思います。この場を借りてお見舞い申し上げます。

辛うじて開催出来た大会もいくつかあり、そのなかでもエンジン フィールドテスター林 直樹プロの活躍は目覚ましいものでした。

JBマスターズ最終戦/野尻湖戦/第3位、JBバスプロ選手権東日本/河口湖戦/第4位
その活躍を支えたロッドがSPELLBOUND CIRCUIT CLASS SBCS-600SLH2であり、昨年2012年のバサーオールスタークラシック準優勝のプロスタッフ村川勇介を支えたロッドはSPELLBOUND SBS-6040SL2でした。
この2つに共通するのは、タフコンディション&フルソリッドロッドです。

今回はこのようなタフコンディション時でもバスをキャッチする近道となるカーボンフルソリッドブランクロッドに関して話をしたいと思います。釣り同様あくまでもコダワリの話ですし、また、登場するフルソリッドはカーボンが前提です。グラスソリッドではございませんので、ご了承下さい。

エンジンのバスロッドシリーズ SPELLBOUND(スペルバウンド)の大きな特徴の一つにカーボンフルソリッドシリーズがあります。

まずこの「フルソリッドの製法」を簡単に紹介したいと思います。
中身が中空のチューブラーブランクとは違い、中身がぎっしり詰まったソリッドブランク。その製法も大きく異なり、チューブラーは薄いカーボンシートをあらかじめテーパーのついた芯棒(マンドレル)に何層か巻きつける製法、ソリッドブランクはカーボン繊維の集合体(縦繊維のみ)から削り込みテーパーを出していく製法になります。

ちなみにソリッドブランクの先端は0.7mm、太くても1.1mmとほぼアンダー1mmの世界となっており、その細さを見れば本当に職人の世界だと実感して頂けると思います。補足ですが、縦繊維のみなので、削り込みは本当に大変だと思います。そして先程の繊維の集合体にも様々な品質があり、ここにコダワラないとささくれが発生しやすいロッドになってしまいます。

そこで我々が選択したのは世界に誇る品質、技術のジャパンメイドなのです。品質が良くても技術が伴わないと右へ左へと歪んだブランクになりますし、技術が良くても品質が悪ければささくれるしで、良い素材と良い技術があってこそ本当に良いフルソリッドロッドが生まれるのです。だからこそ日本製にコダワルのです。

次に「何故フルソリッドにコダワルのか?良さは何なのか?」について
「フルソリッドの良さって何?」と考えると、食い込みの良さ、トルクに尽きると思います。2lbラインで、50オーバーのバスをキャッチしたときなどに「本当にロッドに助けてもらった」と実感出来ます。まあ、ファイト中はハラハラドキドキ、アドレナリン出まくりと決して心臓には良くないと思いますが。その状況の繰り返しが自信や経験となり、ロッドが手放せない、重宝するといった現象を生むのでしょう。特にトーナメントとなると余計その傾向は強いと思います。

では何故、そのような状況下でもバスをキャッチできるのかというと、理由は先程挙げた「食い込み」と「トルク」にほぼ集約されます。「食い込み」については、チューブラーロッドと比較してもらうと一目瞭然、ロッドティップ先端からしっかり細かく美しく曲がります。チューブラーだとある意味、大雑把といいますか、先端からは綺麗に美しくは曲がりません。先程も述べたようにフルソリッドブランクの先端は1ミリ以下のものがほとんどと実に細いのです。同じ材料を使ったとして、細いものと太いものでは基本的には細い方が曲がりやすいことは皆さんご存知だと思います。(ここでは強度は別にして下さい。)さらに中空の場合と中身が詰まった場合、当然中身が詰まったものが強いことは明白ですよね。水道のホースとロープを比較してもらえばわかりやすいですよね。ならば、コンマ1mmアンダーのチューブラーブランクを作れば、細くて曲がるだろうと思いますが、中空状態ですので強度は考えにくく、はっきり言って弱くてもろいことは明白かと思います。(あくまでもバスロッドとしても話です)

結論として、ロッドティップの先端がしっかりと曲がることで、自分がイメージするルアーアクションを意図的に演出でき、曲がるからこそ、かすかなバイトを取りバスをキャッチ出来るのです。簡単に言うとこれが、フルソリッドの食い込みの良さ、曲がることのメリットです。

次にトルクに関してです。
ブランクが曲がり、元に戻ろうとする復元力をトルクとすると、チューブラーは中空、ソリッドは中身が詰まっていることからも、戻ろうとする素材(カーボン繊維)が多いほうが復元力が高いことは明白ですよね。だからこそフルソリッドブランクはトルクがあり、2lbラインでも50オーバーのバスとも余裕をもって対峙できるのです。

ここまでフルソリッドブランクの有効性について述べてきましたが、デメリットとかないの?って思う方も多いと思いますので、次はデメリットについて述べたいと思います。
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、ズバリ重量です。中身が詰まっている分、自量が増してしまいます。先程述べたメリットとデメリットが表裏一体の関係なのです。その為、ロッドレングスも6フィート4インチ位まではギリギリOK、6フィート6インチでは使う気が起きない重量になってしまいます。試行錯誤したのですが、事実間違いありません。

1インチ違うだけでも体感する自重は大きく違います。そのため、カーボンフルソリッドロッドはややショートレングスのモデルが多いのです。今後技術革新が起き、超軽量化カーボン繊維が登場し、ロッド製造に見合うコスト化が図れれば、別の話となりますが、残念ながら今現在そのような情報はありません。

補足的に、ショートロッドでは飛距離が出ないのでは?という問い合わせもありましたが、これも自重を生かしたブランクのしなりスピードにより、飛距離が足りないと言った心配はありません。バスフィッシングは遠くに飛ばせば釣れるってものでもないですし、むしろ、キャスティング精度を上げた方が明らかに釣果は増すと思います。

かなり前置きが長くなりましたが、いよいよ本題のエンジンバスロッドシリーズ スペルバウンドのカーボンフルソリッドロッドについて述べたいと思います。
フルソリッドシリーズはオリジナルSPELLBOUNDシリーズで3機種、SPELLBOUND CIRCUIT CLASSシリーズで4機種を発売中となっており、簡単な紹介は下記の通りです。

SPELLBOUND(スペルバウンド)*オリジナル
・SBS-511SL2
エクストラ ファーストテーパー採用、1/16oz 前後のライトリグ全般に対応。ENGINE フルソリッドロッドを象徴するモデル。
・SBS-511SL3
ファーストテーパー採用、511SL2よりノセ調子に振ったモデル。3/64oz前後のライトリグ全般に対応。
・SBS-604SL2
エクストラ ファーストテーパー採用、ライトキャロ、スプリットショットやライトプラグのストレートリトリーブに。ティップ〜ベリーの絶妙なノセ感を体感出来ます。

SPELLBOUND CIRCUIT CLASS(スペルバウンド サーキットクラス)
・SBCS-600SLH2MG
エクストラ ファーストテーパー採用 感度、フルソリッドロッドのイメージを一新する1本。フルソリッドロッドを持つならこの1本。おススメです。
・SBCS-600SL2MG
エクストラ ファーストテーパー採用 SLH2よりマイルド感があり、サーキットクラスシリーズ中最もフィネスなモデル。ボトム形状、ストラクチャー等で使いわけ下さい。
・SBCS-604SL1MG
エクストラ ファーストテーパー採用 SBS604SL2をよりシャープにし、強さを持たせたモデル。ライトキャロ、5インチ以上のネコリグ等に。
・SBCC-602SL1MG
エクストラ ファーストテーパー採用 ベイトフィネスアプローチモデル。カバー周りや水面下攻略を得意とし、5g前後のソフト、ハードベイト問わず使用可能。

といったところです。オリジナルSPELLBOUNDシリーズとサーキットクラスの相違点はテーパーの作りが大きく違い、サーキットはティップよりのエクストラファースト、オリジナルはベリーよりのアクションとイメージしてもらえれば良いかと思います。オリジナルSPELLBOUNDは「強いフィネス」と言ったイメージに対して、サーキットクラスは「攻めのフィネス」、と言ったところです。

使い勝手も本当に人それぞれですが、初めての1本にはサーキットクラスのSBCS-600SLH2MGをオススメします。感度も良く、守備範囲も広く、フルソリッドロッドのオールラウンダーとしての1本となります。これを基準に、もうちょっと強いものが希望であれば、SBS-511SL2、キャロ、ネコリグにも使用したいのであれば、サーキットクラスSBCS-604SL1MGですね。

また、最近では、唯一のベイトロッドSBCC-602SLMGはベイトフィネスの流れもあり、皆様から高い評価を頂くことが多いモデルです。キャストのし易さもさることながら、絶大なるトルク感は機会があれば是非とも味わって頂きたいです。大きな特徴のガイドの数13個やトリガーレスのリールシートなどは、ライントラブルの軽減やスモラバなどのシェイキングのし易さに大きく寄与しているのです。おかっぱりでもこのロッドが1本あると大変重宝してもらえるはずです。

とまあ長々と書きましたが、店頭やイベント、ショーなどで触って頂ければ、ご自分の好みの1本が見つかるはずです。
そして、エンジンスタッフがいるときなどはどんどん質問して頂ければ、さらに理想的なご自分の1本へと辿りつくはずです。

最後にくどいようですが、ルアーの操作性の意欲を満たし、なおかつ天才級のバス、しかもデカバス多しのフィールドで釣りをすることが多い方には、間違いなくフルソリッドロッドの出番です。
ライトラインで、デカバスキャッチ!このようなスリリングな展開が好きな方には絶対ですよ! さらにタフコンディションになればなるほどフルソリッドロッドの本領発揮&出番です!

それでは、私をはじめ、スタッフ一同バサーオールスター会場で皆様の来場をお待ちしております。寒いですので、温かい恰好で来てくださいね。